西の魔女が死んだ
正直ほとんど泣かなかった。100%入り込むこともなかった。でも、映像は美しかった。
友達が泣きっぱなしだったという。わたしは見ながら、きっと彼女は話したことのない、秘めた経験が、この主人公の体験や振る舞いに重なり、後悔に似た感覚であったと想像している。
高校時代の2年は実に長い。主人公の彼女がおばあさんに2年も会わなかったことを責めるような気持ちで見ていた。 しかし実際は、自分自身も毎年祖父母や親戚に会っていた訳ではない。
結局のところ、わたしは映画を通じて自分を責めているのだ。
もともとは妹が持っていた小説を貸してくれたのだった。まだ癒しだのエコだの言わなかった時代。わたしは自然な暮らしにあこがれた。
トレンドの流れの上にいるわたしは、自分が愛して止まない西の魔女の英国的暮らしぶりさえ、いまは内面に浸透してこない。