『ウラからのぞけばオモテが見える』
ウラからのぞけばオモテが見える (佐藤オオキ/nendo・10の思考法と行動術)
- 作者: 佐藤オオキ,川上典李子,日経デザイン
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2013/10/17
- メディア: 単行本
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佐藤オオキさんの名前は以前から聞いたことはあったものの(デザイン界の3大佐藤とかなんとか)、今回初めて詳しく佐藤さんの作品や考え方などを知りました。
1週間に3、4回提案しており、その大量の仕事が、このような体系化に結びついているのだと思います。
体系化した上、さらに会社というチーム全体で方針として共有されている様子が見て取れ、うらやましい気分さえしてきます。
体系化の内容は、この著書のサブタイトルにもあるとおり、「10の思考法と行動術」、10個がすべて語られています。
●佐藤さんの会社、nendoの思考法(目次から)
- 「面」で考える
- 一歩「下がる」
- 「違和感」を生む
- 均衡を「崩す」
- 見せたいものは「隠す」
- 「ゆるめ」に作る
- とにかく「集める」
- 「休み時間」に休ませない
- 「他人丼」を見つける
- そこにあるものを「使いまわす」
あえて無視してまとめるなら、佐藤さんのスタイルは、シンプルかつfun、ですね。シンプルは、ミニマムな感じと、そこはかとないスタイリッシュな要素も含み、funは、日本語にするのがむずかしいのですが、たのしい感じ、素でちょっと楽しめる、ユーモア、いたずら心、みたいな感じでしょうか。
形だけでなく、ネーミング等も合わせて提案することがあるようで、お菓子の「米かりん」という名前を「米かりんと」として成功したことがあるそうです。「と」一つでまるで変わる印象とわかりやすさ、したしみやすさ。「とう」ではだめだったというのもわかります。
また、店舗のインテリアデザインも数多くの実績が紹介されています。いまや、佐藤さんのもとには日本以上に海外からの依頼が数多く舞い込んでいるようです。
空間の導線設計で「隠す」とは、とても参考になる話です。すべてを見せれば、お客様は興味を一気に失います。見せたいものを隠す、隠したところを一つ一つ開いていくから、人はそちらに向かって移動するのだということです。
著書の後半で、デザインとスポーツは関連があると話しています。マネジリアルデザインという意味だと思います。
同時に私自身は、提案書の業務も、以前やっていたパソコン業界での企画業務についても、やはりこの本の内容と共通する点が多いのを感じ取っています。ということは、当然、その他の多くの業界において、同様の解決法がここにあるのではないかと思っています。
今の業務でなんとなくベテランになっている人には、自分もそう感じていた!という部分があるでしょうし、それをさらに深堀した編集者の方のコメントがあったりして、気づきを得ることができると思います。
まだ今の仕事を始めてそれほど時間が経っていない人にとっては、この10の方法を使ってみることで、役立てることができるのでは?
あるいは単純に、たくさんの写真の上に手書きで書き込まれた工夫ポイントとか、おもしろアイデアなどを楽しむだけでも価値はありそうです。