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個人的な生活と思索の記録です

ロングヒットの歯科医院

わたしはどちらかというと、もともといったん気に入ればずっと継続して同じお店や人と関わり続けるタイプの人間のようです。そもそもは1カ所になどとどまる人生ではなかったし、こんな自分に気がついたのは大人になってしばらく経ってからでした。

今日ここでお話ししたいのは、私が15年近くお世話になっている歯医者のことです。もしかしたらこの歯医者さんのおかげで、自分が1カ所にずいぶん長い間好んで通い続けるタイプだと言うことを知らせてくれたのかもしれません。
私はこの歯科医院のことを、仕事のチームビルディングの時に思い出すこともあります。その理由は、受付の人たちが、開業間もなかった私が通い始めた頃からずっと変わらず勤めていることからです。
歯科医院として、いうまでもなく院長先生は経営者。そこに開業したのはまだ30歳すぎくらいの時だったのではないかと思います。どんな事情かわかりませんが、そのとき、跡を継いで全面的にリニューアルして開業されたため、伺ったことを覚えています。
当初は1人ですべてをやっていた先生。受付には、2、3人の感じのよい女性が交代で座っていました。わたしがあちこちの土地に移る度につぎはぎで治してもらっていた歯をきれいにしてくれたのが院長先生で、どんな状況をどう治す(した)かを見事に明確に納得できる説明をしてくれて、あらゆる疑問に答えてくれました。そして治療後、レントゲンで確認すると見事に見違えるくらいきれいになっていて。わたしはその腕と人柄に惚れ込んで、以後、定期的にみていただいています。若いのに腕が確かな医者を見つけたという興奮が去り、この歯科医院がほんとうにすごいなと気がついたのはその後でした。
確か先生は少しお休みして米国に渡るなどしていて、当時まだあまり知られていなかったインプラントの資格を取り、医院の歯医者を増員、奥様も医師としてスタッフに加わり、大学で教鞭を執り、さらに学生のインターンを受け入れ、いつの間にか同じビル内を増床してセレブ向けサービスを始めています。

小さな、町の歯医者さん。これを成功と言わずして何を成功というのでしょう。経営者としての手腕もたいしたものだと思います。
私自身もその昔、頭痛と背中痛で歯医者のいすにも普通に座れなかった時期があり、かみ合わせの不具合を指摘されました。治療で調整されたのですが、悩んだ末に矯正治療について相談し、同窓の腕利きの専門医を紹介していただいたことがあります。以後5年にわたり矯正歯科に通い続け、無事終了しました。
いまは矯正治療と言えば歯を抜かない、金属を見せない、などが人気ですが、そのときは2本ほど健康な歯を抜かざるを得なくなり、この医院にお世話になりに来ました。
院長先生は、そのときは個室(セレブ階)、半個室にて特別に対応してくださり、一度などいっしょに浜崎あゆみのDVDを見ながらゆっくり話をしてくれたことをよく覚えています。
院長先生と仕事、つまり歯のことを離れた会話をゆっくりしたのは初めてで、初めて医院に来たときからのことを話しました。
そして抜歯後、ようやくわかりました。
彼が健康な、しかも丈夫な歯を抜くことの意味を知り抜いていたことを。どれほどの喪失感を伴うか、痛みは開院当初からあらゆるインテリアや麻酔ガスなど最先端のものを常に試していた医院でしたが、それでもまだ足りない。人の痛みは人がそばにいることでないと癒せない。そんなもっともプリミティブで人間理解があり、愛に満ちあふれた治療をその歯科医院ではさりげなく、当たり前のように実践しています。

わたしはこの感覚が、患者には見えないところで医院全体に充ち満ちていることを感じます。ほんの少しの間だけ、院長先生以外の先生に見ていただいたことがあります。彼らも、また非常に腕がいい、もしかしたら年をとってきた院長先生以上に今はいいのかもしれないくらいです。なおかつ、患者への態度も、そこでは変わらず良いです。一人一人の個性はありますが、姿勢は共通。結果はもちろん100%。まさにわたしが思うチームの姿がそこにあります。

現在、しばらくとある事情でご無沙汰気味なのですが、その歯科医院に伺うたびに思い浮かび続けているのは、次はどうなるのだろう。次のステップを院長先生はどうするのだろうか。ということです。そして次に伺うたびに、うれしい発見があります。

こんなビジネスアミューズメント感覚をもちあわせた職場を増やせたらいいなと思っています。

いい歯医者を探している方、インプラントをしたい方がいたら私はここを紹介したいと思っています。